那覇市の市議会議員である女性が、市議会の最終本会議を欠席し、日本武道館で行われる息子の初ライブを観に行った。
それが沖縄タイムスに取り上げられ、ニュースになっている。
確かに自分の息子が日本武道館でライブを行うとなれば、それは当然観に行きたいはず。
また、その息子氏はハンディを抱えて生まれてきてたということで、
母親としては、息子の晴れ舞台を観に行きたい思いは人一倍強かったであろうことは容易に想像できる。
Facebookには市議本人による長文の説明も掲載され、市議を応援する人たちの「母親なんだから当然だ」というコメントも多数。
ただ、私が思うに、この市議は決定的な判断ミスをしてしまったと思う。
市民に思いを託された市議という役割を捨て、個人の欲を優先してしまった。
そこにどんな理由があろうとも、公を犠牲にして自身の欲を満たすことを優先してしまったことに変わりはない。
私としては、このことが息子氏のこれからの活動にネガティブな影響を及ぼしてしまうのではないか、
それが一番心配だ。
例えば、この武道館公演が一生で一度きりであるなら、それはどんなことがあってでも行くべき(かも)しれない。
ただ、息子氏は「これから」の人だ。
これからどんどん活動していくべき人であり、例えば毎年武道館公演をやるという野望もあったかもしれない。
そんなとき、母親の今回の行動のことが、ネガティブな意味合いでついて回るのではないか。
それが一番心配だ。
逆に、もし仮に今回、母親が子どものコンサートを観に行くのを我慢して、
自分の仕事である最終本会議に出席していたらどうなっていただろう?
私的なことよりも自分の仕事、公の利益を優先する素晴らしい市議として、逆に賞賛されたのではないか?
そしてさらに支援者が増えたのではないか?
そんな気がする。
アーティストというのはなかなかシビアな職業で、
家族の結婚式に出られないとか、自分の子どもが生まれるときに病院に行けないとか、親が亡くなるときに一緒にいられないとか、そういうことは多々ある。
それがプロというものだったりする。
今回は母親のスケジュールと自分のコンサート日程をうまく調整できなかったわけだが、そういうときはきっぱりあきらめるしかないと思う。お互いプロとして。
また、もっと言うと、、息子氏は母親に今回の自分のライブを見せたかったのだろうか。
こんなことをいうとアレだが、子どもというのは案外、親に自分の活動を見られるのをこっぱずかしく感じたりする。
まぁ自分は武道館で演奏したことがないし、息子氏の気持ちは正直わからないが、
母親に観てほしいという気持ちが実際どれだけ強かったかはちょっとハテナだ。
もっと言えば、自分だったら「仕事があるなら仕事を優先してほしい」と母親に言うんじゃないか。
いくら初の武道館公演でも、「仕事をほったらかしてでも観に来てほしい」とは思わないはずだが・・。
音楽の仕事をする者にとって示唆に富んだニュースだった。