先月は、ほぼ毎晩ライブ配信の仕事。
肉体的・精神的にギリギリの状態が続いていた。
なにか気分転換したいと思っていたところ、知り合いのベースプレイヤーが6弦ベースを手放すと聞き、ならば自分に譲ってほしいとお願いして快くOKいただいた。
そんなわけでいま、手元にヤマハTRB1006Jがある。
冨田ラボ先輩も使用している6弦ベースだ。
ちなみに色は光の当たり方でだいぶ変わるかも。
自分の個体は赤だが、もう少し濃い印象。
TRBシリーズの公式サイトはこちら。
TRB1006Jのスペック
TRB1006J
希望小売価格: 140,000 円(税抜)
2010年4月 発売
TRB1000シリーズ の6弦モデル
- メイプル+アルダーのラミネートボディ
- 反りやネジれに強い5ピースネック構造
- ピックアップはクリアな音像を追及したハムキャンセルタイプ
- 3バンドイコライザーを備えたアクティブ5コントロールシステム
- 高い伝導効率で弦振動をボディに伝える新開発ブラスブリッジ
同じ6弦のジョンパティトウッチモデルTRB-JP2とのスペック比較は以下。
https://jp.yamaha.com/products/musical_instruments/guitars_basses/el_basses/trb/specs.html#product-tabs
TRB1006Jを写真で解説
以下、写真とともに私感を。
非常にコンパクトにまとめられたヘッド。オモテにはメイプルの化粧板?が薄く貼られており、見た目Good。重量バランス的にもヘッドは小さい方が良い。よくこの小さなヘッドにペグ6つ付けられたなぁと。
指板はローズ。目は粗い。ふだんはエボニーやメイプル指板のベースばかり使っているのでよくわからないのだが、ローズはこのくらいの目の粗さがわりとフツーなのかもしれない。
ボルトは6本。非常に深いポジションでボディにネジ止めされている。
そのせいか、弾くと弦振動が身体にガンガン伝わってくる。
弾いていてとても気持ちが良い。
ネックはメイプル+ナトーによる5層とのこと。
ヤマハは昔からナトー好きですね。。
幅広ネックを支えるためトラスロッドは2本入っている。
スペック表によるとボディはメイプル+アルダーとのことだが、実際にはこのように4層になっている。
この黒くて薄い層はなんだろうか。。
一見ハンバッキングっぽいが、実はハムキャンセルシングルコイルのピックアップ。
ブリッジは弦間17mmで固定されている。
4弦の19mmと比べるとかなり狭く、正直戸惑う。
慣れないとパッと弾きたい弦を弾けない。
TRB1006Jを入手しての感想
エレキベース全体の出荷本数における6弦ベースの占める割合は果たして何パーセントくらいだろうか。1%あればいいくらいではなかろうか。。とにかく市場規模は小さいと思われるが、ヤマハはかなり昔(30年くらい前?)から6弦ベースの開発に力を入れてきた。
そして、そのノウハウの集大成がこのTRB1006Jだと感じた。6弦ベースの開発・製造には、4弦ベースとは全く異なるノウハウが必要となるはずだが、この楽器はとにかく全体のバランスが素晴らしい。
6弦ベースを開発する場合、特に以下の点に考慮する必要があると思われる。
- 重量
- ヘッド側とボディ側の重量バランス
- 弾きやすさに配慮したボディ形状
- ネックの剛性
- 弦間隔
- 音
そしてこのTRB1006Jは上記の全ての面でかなりイイ線をいっていると思う。
この個体の重量はきちんと計っていないのだが、おそらく5kgくらいだろう。昔アトリエZのヘヴィウェイトアッシュの5弦を持っていたのだが、あれは完全に腰にくる楽器で、やむなく返品した。このTRB1006Jは、ストラップで背負っても腰が痛くなるところまではいかない。なんとかステージもこなせそうである。また、重量バランスも全く問題ない。
ボディ形状も良い。見た目も良いし、弾きやすい。昔、カシオペア時代の櫻井哲夫氏がヤマハの6弦ベースのプロトタイプを使用していた頃、ヤマハは櫻井氏にライブで使用してもらいながらボディを削ったりしていたという話を聞いたことがある。その集大成がいまのTRBだと言える。
ネックもしっかりしているように思う。いまのところソリもなく、非常に安定感がある。
弦間隔については個人的には弦間隔は17mmは狭い。だが、おそらく19mmにするとネック幅も広くなり、結果として重量が増えてしまうというマイナス面があるのだろう。そう考えると17mmが妥当なのかもしれない。まぁ慣れればなんとかなると思う。
肝心の音だが、櫻井氏、ジョンパティトウッチ氏のそれ系だ。スーパーロングスケールゆえか、ローBの音程感もしっかりしている。アクティブサーキットも非常に良く効き、使いやすい。そして電池が入っているベースとしてはクセが少ない方だと思う。
以上、TRB1006Jを実際に手にしての印象をまとめたが、しかしこれだけのクオリティのベースを定価14万で販売できるヤマハ、恐るべしである。